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旅行業界のM&A動向

2021年11月29日

カテゴリー:業種

業種分類:旅行

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新型コロナウイルスの影響を強く受けている旅行業界。人々の旅行に対する需要は普遍的に存在しますが、その需要の内容・性質が大きく変化する中で、旅行需要の回復期を狙ったM&Aニーズのみならず、こうした需要の変化を先取りするようなM&Aニーズも徐々に散見されるようになってきております。

業界概観

新型コロナウイルスの影響で2020年以降訪日外国人旅行客及び日本人海外旅行者はほぼ皆無に近い状況になり、日本人国内旅行消費額も2020年7~9月期は前年同期比56.6%減、2021年7~9月期は2019年同期比65.2%減と2020年7~9月期に行われていたGo Toトラベルキャンペーン実施時期においても50%以上の減少を見せるなど(2020年10~12月期は前年同期比45.0%減)、大きな落ち込みを見せています(いずれも観光庁 旅行・観光消費動向調査より)。

日本人国内旅行における、より細かな行動特性を見てみると、宿泊旅行の割合については2020年7~9月期において53.8%、2021年7~9月期において54.5%と2019年同期における56.1%と比較すると宿泊旅行を避けて日帰り旅行を選好するといった傾向は大きくは見られていません。また、日本人国内旅行者一人一回当たりの旅行消費額を比較すると、2020年7~9月期は33,716円、2021年7~9月期は35,241円と2019年同期における39,521円からそれぞれ14.7%、10.8%減と宿泊旅行者の消費額減少の影響が大きく出ております(日本人国内宿泊旅行者の一人一回当たりの旅行消費額は2019年同期比で、2020年7~9月期に15.0%減、2021年7~9月期に11.0%減)。

この消費額の減少は、①ホテル・旅館の稼働率低下による宿泊費の低下、②遠距離を避け近場への旅行を選好することによる交通費の減少、③飲食店の時短営業、酒類提供自粛による飲食費の減少、といった複合的な原因が考えられるため、他のデータからこれら傾向について詳細に考えてみたいと思います。

宿泊に関する支出のデータとして、上場不動産投資信託(JREIT)でホテルを中心に運用している星野リゾート・リート投資法人、森トラスト・ホテルリート投資法人の開示資料によると、星野リゾート・リート投資法人が保有する星野リゾート運営の主要3ブランド(星のや、リゾナーレ、界)においては一部屋当たり収入(RevPAR。客室稼働率×客室平均単価で計算される)が底堅く推移しており、特に界ブランドにおいては2020年7月以降、2019年同月実績を概ね上回るなど、好調に推移していること、森トラスト・ホテルリート投資法人の保有するヒルトン小田原リゾート&スパにおいて2021年3月以降前年同月の売上総額を上回る動きを見せていることから、上記消費額の減少は、宿泊費の減少よりも、近場への旅行を選好することによる交通費の減少の影響が大きい可能性が指摘されます(星野リゾート・リート投資法人2021年4月期決算説明資料はこちら、森トラスト・ホテルリート投資法人の2021年8月期決算説明資料はこちらから)。

今後の見通しとトレンド予測

ワクチン接種の進展、日本における自粛要請の緩和により、国内旅行については未だ不透明感は存在するものの、回復が見込まれております。また、海外旅行に関しても、日本を含む各国の入国制限及び隔離措置の緩和が広まれば再開の動きが出てくるものと思われます。

旅行、ツーリズム業界の世界的な業界団体であるWTTC(World Travel & Tourism Council)とTrip.comやCtrip、SkyscannerなどのなどグローバルでOTA(Online Travel Agent。オンラインのみで取引を行う旅行会社)を運営するTrip.comグループが共同で公表したレポートによると、当レポートの冒頭で、新型コロナウイルスは人々の生活、仕事、旅行のあり方を変え、その過程の中で、人々の旅行そのものに求める要求、期待、選好を変えているとしています。

そして、起きていることとして、①国内で新たな体験を求める国内旅行における再発見、②ワーケーションを含む長期滞在型の旅行へのニーズがより高まっていること、③混雑を避ける傾向により、旅行地として有名ではない地域や自然を楽しむニーズが増えていること、④サステナビリティへのさらなるコミットメント、⑤健康意識の高まり、を挙げています。また、海外旅行再開時に、より先に海外旅行を行う層として、ミレニアル世代・Z世代といった若年層であると予想し、ロックダウンや自粛によりお金が貯蓄に回っている層が存在するため、国内外問わず旅行を本格的に再開するタイミングでは、新型コロナウイルスへの警戒も含めて、より高級なテイラーメイド型の旅行の需要が高まると予想しています。その過程の中で、よりカスタマイズされた旅程を組むために、旅行アドバイザーのニーズが高まるとしています。

今後のM&Aニーズについて

足元のM&Aニーズとしては、高価格帯の宿泊単価を追及可能である旅館・ホテル、長期滞在ニーズを取り込める宿泊施設が中心となりますが、国内外旅行の本格再開時へ向けて富裕層顧客を有する旅行代理店や他には無い体験型のパッケージを提供可能な旅行代理店へのニーズも散見されつつあります。

上記の旅行業界におけるトレンド予測からは、今後、旅行の過程の中で新たな移動・周遊手段の提供が可能な企業や、自然や地方において新たな体験を企画できる旅行会社、新たな目的地や旅程などの旅行内容を提案、プロモーションできる旅行会社及びプロモーション会社などへも徐々に注目が集まってくる可能性があります。

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