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自動車整備業界のM&A動向

2021年12月17日

カテゴリー:業種

業種分類:自動車整備

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「車離れ」、「CASE」など様々なキーワードで語られる自動車業界ですが、その中でも、自動車整備業界は総売上で5.5兆円、整備要員数で約40万人の規模の大きな業界です。零細企業が多く、人材不足・高齢化や電装化・通信技術の搭載への対応など多くのテーマを抱えていますが、ゆえに変化の大きな業界とも言えます。本稿では業界の状況からM&A動向をまとめてみました。

業界概観

自動車整備業を営む認証工場数は2020年度で91,530工場と2015年度と比較すると0.6%減と微減しています。この事業場数に対して事業者数は72,923事業者となっており、1事業者あたりの工場数は約1.25工場と、それぞれの事業者が営む工場数が少ないことが分かります(出所:国土交通省)。

また、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会の「自動車特定整備業実態調査」によると、2020年度におけるディーラーの自動車整備工場数は16,315工場と全体の17.8%に過ぎない一方で、総整備売上高では2.77兆円と全体の49.1%を占めております。このディーラーの自動車整備の売上高は、2020年の自動車メーカーの総販売(出荷)額約15兆円の18.5%の大きさであり、日本国内の新車販売台数が減少していく中、ストックビジネスとして考えた場合に、安定した収益源として無視できない大きさとなっております。そのため、ディーラー各社は今後も自動車整備に注力していくものと考えられます。

こうしたディーラーの囲い込みの中で、特に自動車整備専業の会社の課題は、売上の確保であり、FC加盟や同業との連携、法人顧客への注力や個人顧客の集客としてネットの活用といった施策を講じています。

加えて、自動車整備業界全体におけるもう一つの課題は人材不足です。自動車整備士の数は2015年度339,999人から2020年度339,953人とほぼ横ばいで推移していますが、整備要員の平均年齢は2015年度44.3歳から2020年度45.7歳と高年齢化しています(参考までに2003年度の平均年齢は39.7歳。出所:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会「自動車特定整備業実態調査」)。有効求人倍率は2019年度4.77倍と全業種の1.41倍を大きく上回っており、2011年度の1.07倍から継続的に、かつ大きく上昇し、人材不足が業界全体の大きな課題となっていることが窺えます(出所:厚生労働省「職業安定業務統計」)。

また、「CASE」(Connected(コネクテッド、情報通信化)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリング)、Electric(電気自動車)の頭文字をとったもの)と呼ばれる自動車業界の変化の中で、HV・EVの普及による電装・電子部分及びコネクテッドカーの普及による通信技術搭載車の自動車整備の需要は増加の傾向にあり、電装・電子部品の知識を有する一級自動車整備士へのニーズが高まるとともに、今後資格制度が整備されるものと見込まれる車載情報技術への理解も自動車整備業界にとって必須のものになると思われます。

今後の変化の方向性とM&Aニーズについて

日本における自動車保有台数は2015年の8,067万台から2021年の8,207万台と、車離れと言われる中でも増加しており、なかでも乗用車の新車登録台数に対する中古車登録台数の比率(=中古車登録台数÷新車登録台数)は2017年の1.15倍から2020年には1.35倍と中古車の比重が大きくなっています(出所:一般社団法人日本自動車販売協会連合会の統計より当社計算)。この背景には、HV・EVや電装化、鋼材価格の上昇等を受けた新車の価格上昇や短期的な事象の可能性は否定できないものの、半導体の供給不足による新車の納車期間の長期化などにより、消費者の需要が中古車にシフトしていることが考えられます。

また、海外向け中古車輸出台数も直近は米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響などにより若干減少しているが、年間120〜130万台程度と国内中古車登録台数の約3分の1弱の規模が見込まれる市場であり、中古車市場を中心とした車検・点検等の自動車整備に対する需要は引き続き堅調に推移すると見込まれます。

他方、先述の通り、人材確保は業界全体の課題であり、小規模な事業者も多い一方で整備に必要とされる技能が高度化することから、人材確保の観点からも過小資本の解消のための専業・兼業・ディーラー・自家の組み合わせを含む、同業内における合併や買収が進展する可能性があります。

また、新車販売が減少する中で、新車ディーラーが中古車販売も併せて行っていることも常態化しており、いかにユーザーのライフサイクルに合わせて新車、中古車問わずに買い替え需要を取り込むのかも重要なテーマとなっています。これは中古車ディーラーも同様であり、この文脈の中でユーザーの保有する自動車の状態を定期的に把握できる自動車整備業の役割は決して小さくないものと思われます。さらに、車用品販売などの物販企業もクロスセリング(商品やサービスを販売するにあたり、その商品に関連する別の商品やサービスあるいは組み合わせ商品を同時に販売すること)による顧客単価を上げていくことを目指して、自動車整備業へ継続的に注目しております。

近年の事例としては、2021年7月に発表された北海道トナミ運輸株式会社による、北海道の帯広を中心に一般自動車整備業を営む東道東自工株式会社の100%子会社化、2020年8月に発表された株式会社オートバックスセブンによる三重県で車検・整備、板金事業等を行う高森自動車整備工業株式会社の100%子会社化、2019年10月に行われた中古車販売等を展開する株式会社グッドスピードによる名古屋市を中心に乗用車やトラック、自動二輪など幅広く自動車整備を提供する株式会社ホクトーモータースの100%子会社化、2019年6月に発表された日産東京販売ホールディングス株式会社によるスポーツタイプの車両を中心とした中古車販売事業および自動車整備事業を展開するGTNET株式会社の子会社化などは、いずれも上記の類型に当てはまる事例かと思われます。

また、M&Aとは異なりますが、2019年10月に丸紅株式会社が出資した、顧客が希望する時間・ 場所に自動車整備士を派遣して自動車整備・修理を行う米国のスタートアップ企業であるWrench社、2021年6月にベンチャーキャピタルである株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズなどが出資した、車の整備・修理・パーツ取り付け等の出張サービス『セイビー』を提供する株式会社Seibiiなど自動車整備業界は新たなサービスを提供する企業も生まれている業界であり、保険をはじめとする金融や物販など、自動車整備業から周辺業種へ展開する動きも世界的には見られていることから、今後さまざまな動きが見られそうです。

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